連載コラム『数理最適化』

当社ソリューションメニューの1つに要員計画パッケージecoLLabo WFMがあります。
製品の概要につきましてはecoLLabo WFMの製品詳細ページにてご覧頂きたいと思いますが、このコラムではecoLLabo WFMの核となる「数理最適化」について紹介していきたいと思います。

連載内容紹介


第1回 数理最適化とは①

2016.10.13

第1回は、「数理最適化とはどういったものなのか?」というテーマでご紹介したいと思います。

最適化について

最適化とは、“様々な制約条件を設定し、その制約を満たす選択肢の中から何らかの観点で最適なものを決定すること”です。

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たとえば「家から会社までの道のりで、最も歩く距離が短いルートを選択する」ということも最適化に該当します。みなさんもカーナビの経路検索でよく利用されているのではないでしょうか。

最適化は今や社会にとっても欠かせない技術となっており、配送業者の効率的な物流ルートの設定、行政による公共施設の最適配置など、様々な分野で利用されてきています。

数理最適化について

数理最適化とは“実際の問題を数式で表し、数学的手法で最適な解を導出すること”を指します。
wfm_3理最適化は非常に難しい問題であり、昔から研究者たちがしのぎを削って研究してきました。その成果もあって、数理最適問題を解くことに特化した数理最適ソルバというソフトウェアが登場します。
数理最適ソルバは、計算アルゴリズムの改良によって、計算速度が年々高速化されてきました。20年で10万倍以上高速になったと言われており、これは、1日以上計算が必要な問題が、1秒以下で解けるようになったということを示しています。
また、コンピュータの処理能力も向上しているので、数理最適ソルバで解ける問題の範囲がどんどん広がってきています。

数理最適化の活用事例

数理最適化を活用した2つの事例を簡単にご紹介します。

ポートフォリオ最適化

ポートフォリオとは、資産を投資する金融商品の組み合わせを指していて、リスクは低いが得られる利益の小さい安全資産と、リスクは高いが得られる利益が大きくなる可能性のある危険資産の保有構成を表します。
リスクを低く抑え過ぎると利益が得られず、利益ばかり狙いすぎると大損する危険性が高くなるので、ちょうど良いバランスが求められます。
そこで、過去のデータを利用して数理最適化を適用し、最適なポートフォリオを導出することによって、ローリスク・ハイリターンの運用を実現しています。

シフトスケジュール最適化(WFM)

コールセンターやサービス業はシフト制を敷いているところがほとんどです。
たとえば、あるコールセンターでは下記のような傾向があるとします。
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wfm_5このように時間帯毎に要求されるオペレーターの人数や知識が異なる場合、それを満たすように従業員のシフトを作成しなければなりません。
また、シフトに偏りが発生してしまうと、従業員のストレスになってしまいます。
この場合も、過去のデータを元に要求されるオペレータの人数や知識を予測して、公平性と労働基準を満たす人員配置計画を作成します。
こういった人員配置を最適化することを、一般的にWFM(Workforce Management)と呼びます。


「数理最適化」と聞くと難しそうに感じますが、私たちの生活の様々な場面で活用されている身近な存在に感じて頂けたのではないでしょうか。
次回は簡単な最適化問題をひとつ出題してみたいと思います。一緒に解きながらよりご理解を深めていきましょう。